本記事で得られる知識
ネット通販を始めるにあたって、出店しているショップ運営者が把握しておくべきカスタマー対応業務のうち、キャンセル処理対応のあり方についてをご紹介します。
記事の前提
個人や零細企業で、未経験でネット通販を行っている、もしくはこれから行おうとしてる方向けです。
記事の信頼性
ネット通販業者を約13年運営しています。
ショップ目線でのキャンセル処理に対する基本的な姿勢
ご注文キャンセル処理をするにあたって、
ショップ目線で重要な考え方は、
「お客様からの信頼の最大化とショップ側の損失の最小化のバランス」
これに尽きます。
お客様からの信頼の最大化
キャンセル処理については、
様々な理由により依頼がありますが、
大きく分けると、
お客様都合なのかストア都合の2点に絞ることができます。
お客様都合によるキャンセルについては、
ストア側に非はなく、
細かく捉えると管理会計上は、
途中までの受注処理・ピッキング作業・検品・梱包作業が進んでいるわけで、
ストア側でキャンセルを受ける理由はありません。
ですが、出店モール内の独自機能として、
お客様からの商品に対する評価がコメント付で掲載されたり、
ストアに対する評価を不特定多数の方を前に残せる機能があり、
ユーザーは購入する前段階で、このストアに対する評価、商品に対する評価、
特に低評価の方を見て判断する方が多いのが現状です。
なので、仮にこちらに非がないとしても、
この低評価を防ぐ意味では、
お客様都合だからキャンセルを拒否していいとはなりません。
ストア側として筋の通った対応をしても、
お客様は必ず感情をもって判断するわけですので、
お客様の感情面を配慮し、低評価をもらわない姿勢が重要となります。
ストアの損失の最小化
低評価を最大限に考慮した対応をしなければいけないですが、
だからといって全てにおいて泣き寝入りする必要もありません。
評価コメントに対してストア側が返信することもできるので、
嘘を書くのは絶対ダメですが、
事実をもってきちんと反論することもできます。
そして何より、受注処理をし始めた段階で、
すでにストア側のコストはかかり始めるわけで、
キャンセル依頼をされたタイミングと理由によって、
ストア側に全く非がなかったとしても、
すでにかかってるコストというものが存在します。
受注処理が朝の9時だとして、
午後の1時ころにお客様都合でキャンセル依頼を受けた場合は、
すでにピッキング・検品・梱包の途中までの資材代と人件費は発生しています。
出荷直後のキャンセル依頼であれば、
仮にお客様都合であっても、
今度は送り状の送料代金はすでに発生していることになります。
したがって、低評価を気にしながらも、
あくまで商売としてネット通販をしている以上は、
損失を最小限にする必要もあります。
バランスの鍵は規約と良識ある判断
このバランスの根幹をなすのが、規約と良識ある判断です。
筆者は業務では「規約は厳密に、対応は柔軟に」という姿勢で
注文商品が手間を要して出荷するものか?と、
お客様の故意の度合いに基づいて判断しています。
まず、何も規約に定めていない場合は、
表現は悪いですが、お客さまは全て自分たちが正しく、
どんな手段を使ってでも費用を抑えようとしてきます。
これを突破するためには、
出店しているモール内の規約だけでなく、
ストアオリジナルの規約を厳密に細かく、
文章で明示(はっきり細かく書く)する必要があります。
こうすることで、「当店規約にもあります通り」という言い訳が通りやすくなりますし、
この表現はストア評価の返信にも使用できます。
しかし、実際の対応は規約よりはやさしく、
一般的に良識のある形で、
他の潜在的なお客様でもそれを聞いた時読んだ時に、
ある程度納得の行く程度の範囲内で柔軟に対応することで、
費用面を最小限に食い止めることができます。
ここからはケーススタディを用いて、
一般的な対応の仕方をご紹介していきます。
客都合キャンセル
1.間違った、使う予定がなくなった
これはお客様に完全に非があるもので、
出荷状況のタイミングで判断が変わります。
ここでの対応例は、全てお客様から連絡を受けて、
すぐに対応する場合を指しています。
お客様からの問い合わせを見過ごしていて、
連絡がきた時点から1時間程度以内に対応していれば、
キャンセルできたものが、出荷されてしまったとなった場合は、
これはストア都合として扱う必要がありますので注意が必要です。
在庫品で出荷前
この場合は、問答無用でキャンセルを受けるほうがいいでしょう。
在庫品で出荷完了、運送会社への引き渡し前
出荷が完了していてかご車やパレットに山積みになっていて、
運送会社の引き渡し直前の状態の場合は、
送り状番号を付した文面で返信して、
キャンセルを不可にしてしまいます。
取り出すために積荷が崩れてしまう場合や、
その中から対象を探すのが手間なので、
出荷したことにしてしまいます。
これでお客様がごねてきた場合に限って、
往復送料と探す手間・お客様と対応する手間(人件費)と照らし合せて取り出すか、
もしくは出荷後に運送会社に返送扱いの処理をします。
出荷後
出荷後にキャンセル依頼を受けた場合は、
運送会社に引き渡しが済んでいる状態です。
出荷作業の人件費、資材費を駆使して出荷を完了させ、
送り状の送料も確定してしまっているため、
お客様にはその旨を伝えて、
商品受け取り後に返品依頼をするよう伝えます。
お客様都合の返品自体を受け付けていない規約にしている場合は、
その旨で回答して、キャンセル依頼を断ります。
未使用未開封に限って、往復送料負担にて対応など、
条件はあるけど返品を受け付ける場合には、
送料を負担してもらう条件が揃うことになるので、
客都合返品依頼扱いにて対応するようにします。
2.ストア都合によるキャンセル判断
ストア都合については、
基本的にはお客様には非がありませんので、
超絶丁寧に謝罪をしながら、
迅速にキャンセルの処理をすることに付きます。
在庫ありで販売したのに、実際には在庫がなかった
取り扱いアイテム数が多かったり、
そもそも実在庫数の管理が曖昧だったり、
不良品率の多い商品で再送が多かったりすると、
データ上の在庫数と実際の在庫数にずれがある場合が少なくありません。
この場合は、まず次回入荷がいつなのかを確認し、
入荷が長期になる場合は、代替え品の提案をします。
代替品も、同じ仕様の色違いなどであれば、まだ購入理由を満たせるかもしれませんが、
後継品だったり、類似品だったりすると、
仕様が若干異なってきたりしますので、
お客様の納得いくものが提案できない場合は、
ストア都合のキャンセルを促します。
注文から入金まで時間を要し、在庫確保できていなかった
こちは、お客様からの連絡がきてすぐに対応していれば、
出荷前にキャンセルできたものが、
気づかなかったり人手が不足して、
出荷などに手を取られて確認するのが遅くなったりした場合にたまにあります。
こういう場合は、送り状発行して運送会社に引き渡しているので、
出荷に伴う人件費や戻し分を含めた往復分の送料がかかってしまいますが、
低評価やクレームに確実になるケースなので、
ストア都合ということでキャンセルした上で
お届け前に戻す処理を行います。
価格間違い
販売価格の設定ミスです。
この場合は、赤字の度合いによって判断します。
数十万するような高額商品を桁間違いで売ってしまった場合は、
ストア都合ではありますが、損失を最低限にするために、
キャンセルするのが無難です。
ただし、この半ば強制的にキャンセルする処理ですが、
かなりデリケートに捉える必要があります。
鍵になるのは規約です。
「市場価格を大幅に超えて誤った価格で販売した場合に、
注文後に当店判断でキャンセルする場合がありますので
予めご理解のほどお願いいたします。」
のような文言を予め追加しておきましょう。
購入者の大半は価格が異常に安いことを把握して購入しますし、
事前にこの文言がないと、
人によっては強行で出荷するようにいってくる場合もあります。
実際に訴訟で誤った価格設定をしたストア側が負けたという事例もありますので、
必ず規約にその旨追加しておくと良いです。
商品情報間違い・画像間違い
ストア側で間違った情報で販売してしまった場合です。
お客様が本来望んでいた商品を手配した上で、
手配ができるなら送料ストア負担で交換対応、
手配できないようなら、送料ストア負担で返品します。
規約は厳しく対応は柔軟に
お客様に非があるキャンセル依頼は最大限に応え、
ストアに非がある場合には、
お客様へのできるだけ代替えなどを提案し、
損失が少ないような対応ですすめるのが良いでしょう。
ただし、損失が少なくなるということは、
その件に対してできるだけ時間を費やさないこととも言えます。
丁寧に対応するためにそれだけに数時間を要する場合は、
それだけで人件費が3000,4000円と飛んでいきます。
あくまで商売での話ですので、
この経費よりも安い判断をするところで、
折り合いをつけるようにするのが、
最も効率よくバランスの保てる判断になります。
